interview***
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【No.3】 −韓国で活動するようになる最初のきっかけは何ですか? 初めはさっきお話した演劇の「胎」ですが、同い年の友人がさるベンチャー企業で働いていて彼を通じてストンプ・ミュージックを紹介してもらいました。 −それでファーストアルバムの「Love Scene」ができたわけですね。 はい、そうです。私はいつも「雪」に縁があるようで、ストンプ・ミュージックと契約して初めてのレコーディングの日が雪でした。 −ファーストアルバムが出たときの気持ちはどうでしたか? ファーストアルバムは2002年の5月で、同じ年の12月にセカンドアルバムが出ました。セカンドアルバムは制作作業が非常に早く進みました。 −冬のソナタで採用されたのはセカンドアルバムが出てすぐですか? ユン監督はファーストアルバムから気に入ってよく聞いてくださっていて、セカンドアルバムは初恋に関係する曲が多かったので気に入ってくれて冬のソナタに採用されることになりました。 −冬のソナタ以降有名になって生活などは大きく変わりましたか? それによって映画『オアシス』やアニメーション映画の仕事が来ました。不思議に思っているのは冬のソナタで最初に採用された「When The Love Falls」はアルバムの7曲目なのですが、まさにラッキーセブンを運んできてくれたんだと思っています。 −「When The Love Falls」はミッシェル・ポルナレフの曲で日本でも有名ですがこの曲を使おうと思った理由は何ですか? 姉がLPレコードをたくさん持っていたのですが姉が結婚していなくなったあと、新しい音楽を聴きたいと思って姉の持っていたレコードをいろいろ見ていたところ、ライオンのような頭をした人がピアノの前で演奏しているジャケットがありました。それがとても気になって「こういう人ならきっとファンキーな音楽だろう」と思って聴いたのです。当時ファンキーな音楽が好きでしたので。そして最初の曲をちょっと聴いたところものすごい衝撃を受けたのです。 −そのときがミッシェル・ポルナレフを聞いた初めてですか? はい、そうです。その曲はLPの最初の曲だったのですが一回聴いただけですぐ覚えてしまい自分で編曲をしてみたのです。 −それで韓国でも大ヒットしたわけですね。 はい −それでCMのモデルにもなったわけですが、どのようなきっかけだったのですか? オアシスのアルバムを作ってしばらくたったとき、広告代理店の人が新しい分野で活躍する若い人を探していてそれで私が選ばれたのかと思います。 −携帯電話のインターネットサービスのCMでしたよね はい、KT(韓国テレコム)です。 −そのとき使われた曲は何ですか? いえ、そのとき即興で作った曲です。 −ニューエイジピアニストの旗手と呼ばれていますが、韓国でのニューエイジ音楽とはどんなものなのか、そう呼ばれることをどう思いますか? ニューエイジという思想を持っていないニューエイジの曲が最近はとても多いので、私は単に演奏音楽(インストルメンタル)と呼ばれた方がいいですね。 −どのようなときに曲を思いつくのですか? 特別にこういう時というよりも寝ていて突然思いつくとか、自分でもわからないのですが今日はいい曲が書けそうだとか思うときもあります。最近インタビューを受けることが多くて同じような質問をよく受けるのですが、私にとっては曲を書くというよりは日記を書いているという感じなんです。自分の「話」のようなものです。気分のいいことがあればそれを書くし、悲しいことがあればそれを曲に書きます。 −最近は仕事がたくさん入ってきて先に仕事ありきで書くことも多いのではないですか? はい、まさにそうなのでとても気をつけています。いまテイさんからの依頼の曲を作っていますがまず伴奏だけざっと作ってしまってそのあとピアノの前で遊びながらメロディーをつけるという感じです。 −曲を作るときは先にコード進行から作るような形ですか? −曲を作るときにまずサビから作るとか、初めから作るとか、いろいろなタイプの方がいますがイルマさんはどうですか? 私の場合は即興的にそのときの感じでざぁーっと作ってしまいます。作り始めたら早く終わりたいほうなので。 −忘れないうちに作ってしまうという感じですか? 頭の中にできた音を書くのでできるだけ早くというのがありますが、とにかくできたものを早く書きたい、ということです。そういうときはほとんど夜中中寝ないで作ってしまいます。 −キーなどはどのように選んでいるのですか?いろいろなキーの曲がありますが。 作るときにああこのコードが合いそうだなぁ〜という感じでキーも選んでいます。 −クラシックなどではどのキーを選ぶかという理論がありますがそういったことではなくイメージで選ぶということですね。 理論ということですが先ほど私は道徳が嫌いだという話をしましたが、ある意味理論というのはそれと同じようなことではないかと思います。道徳という何かひとつのもので片付けようというのと同じですから。だから理論を基にして音楽を書くことはできません。人間だって道徳の本を持って完璧に生きることはできないじゃないですか。それと同じことです。コード進行というのはいくつかあると思いますがこうやればいい感じになるなというだけであって。人の道だってそうじゃないですか。理論とか知らなくてもこういう風に動けば「あ、どこかで聞いたことあるな」「これは気持ち良いな」というのがあるわけじゃないですか。理論というのは自分が音楽をやっている立場を説明するためのものだと思っています。 −イルマさんの曲はとてもメロディーが美しいのですがメロディー作りの秘訣とかはありますか? それは道徳の本を見てください。(笑) −ピアノのタッチについてなのですが、ファンの方たちから「どうやったらそのような柔らかい音が出るのですか?」という質問がよくあるのですが、決して弱く弾いているわけではないのにどうしてあんなに柔らかい音が出るのですか? よくわかりません。(笑) −最近あった「冬のソナタ・クラシック・コンサート」でも同じピアノを弾いてもイルマさんが弾くと柔らかい音がする、という感想が多くありましたが。 実はピアノを取り替えておいたのです。(笑) −このコンサートではスタインウェイのピアノを弾いたわけですが、どのピアノが好きだとかはありますか? よくはわかりませんがスタインウェイはクラシックでセンシティブな部分があるので聴衆に聞いていて負担感を与えるときがあると思います。ヤマハとスタインウェイは似たようなピアノかもしれませんが、ヤマハの方が気楽な気持ちを与えるような気がします。 −自宅ではどのピアノを使っていますか? −「YIRUMA/PIANO・MUSEUM」についてですが、「冬のソナタ」「夏の香り」「東京湾景」でおなじみの名曲らはもちろんとして、その他の曲もどれもいい曲ばかりでとても「絵画的」な印象を持つのですが、特にお勧めの曲とかはありますか? 想像できるという意味では「The Sunbeams They Scatter」などはいいですね。落ち葉が舞い落ちる間からこぼれる陽の光というイメージです。これまでに書いたピアノ曲の中でもっとも独特な曲だと思います。 −今後、韓国、日本、ヨーロッパでどのように活動していこうと考えていますか? いろいろ勉強もしなくてはいけませんし、来秋には4thアルバムも出したいと考えています。イギリスでも一緒に作っていきたいと思っている人もたくさんいますし、また新しい音楽を作っていきたいと思っています。ヨーロッパではピアノ曲よりは別のものの方がいいというのもありますので、何か他の楽器とコラボレーションしたりとか、あとライブをしてみたいと思います。日本でもたくさんライブをしたいと思っています。そして日本語の勉強もしたいです。 −最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。 まずは新しいアルバムがでますのでたくさん応援してください。そして私の音楽が何かみなさんの役に立つような、癒されるようなものになったらとてもいいなと思います。その時だけの音楽というのではなくみなさんと長く付き合えるような音楽であってほしいと思います。みなさん、たくさんの応援をお願いします。 |